各社から出るロードバイクのヘルメットは多くのラインナップがあります。KASKやボントレガー、OGKといった有名処から、ベンチャーメーカーから出る様々なヘルメット。 空気抵抗削減を追求したり、軽さを追求したり、デザイン性を優先したり・・・
ヘルメットの選択基準は用途目的、人によって様々です。
特にロードバイク乗りとなると、空気抵抗や重量に気を取られがちですが、ヘルメットの役割で最も重要かつ根本的な要素があります。
それは・・・安全性!!!!
「たりめーじゃねえか」と聞こえてきそうですが、意外とヘルメットの安全性の基準だったり、なぜその素材が使用されているのかといった細かいことは意外と知らないものです。
今回はヘルメットの根本的な役割と基準、JCF公認ヘルメットについて見てみましょう。
ヘルメットの役割
- 1.衝撃により緩衝材が変形することにより、頭蓋骨および脳の加速度を弱めて衝撃力を弱める。
- 2.頭蓋骨の小さい面積に衝撃力が集中しないよう、力を分散させる。
- 3.頭蓋骨と衝撃物の直接接触を避ける。
空気抵抗や重量以前に、まずはこの3つがヘルメットの根本的な役割です。当たり前ですが。
ヘルメットはなぜ柔らかいか
今でも覚えていますが、10年ほど前、初めてロードバイクのヘルメットを買った時に思ったことはコレでした。
「こんな発砲スチロールみたいなヘルメットで大丈夫なん!?」
そう、ヘルメットの素材は(内側)は柔らかいのである。ではロードバイクに使用されているヘルメットに使用されている素材を見てみましょう。
外殻
一般的なロードバイク用のヘルメットの外殻は、ソフトシェルの場合ポリカーボネイト樹脂が一般的。ハードシェルはABS樹脂(これは硬い)などがが一般的。MTBなどよりハードな状況を想定されているフルフェイスヘルメットにはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)などが使用されています。
内側
発砲スチロールが一般的。一度衝撃を受けると変形して回復しないのが特徴。
このように、ロードバイクのヘルメットは基本的に「外殻は硬く、内殻は柔らかい」という特徴を持っています。
卵のような構造です。
ヘルメットに衝撃が伝わると、内側の衝撃吸収剤が割れることにより、衝撃を分散させ頭を守る仕組みです。「割れる」「衝撃を分散する」ことが重要なので、一度衝撃を受けて割れたヘルメットは二度と使い物になりません。
でもこれが正しい状態。
割れたり潰れたりしたら、その次の衝撃には本来の力が発揮できないので、必ず買い替えましょう。
また、潰れていなくても、使用年数や汗汚れなどで劣化することがあるので、3年程度を目安に交換することが推奨されています。
基本的には外殻は頭の表面を守るために、より硬いほうが安全で、内側のライナーは衝撃を逃がすため、より柔らかいほうが安全です。
JCF公認ヘルメットを選ぶこと
ほとんどのロード乗りの方は、意識的、無意識的にかかわらず、JCF公認ヘルメットを着用して乗っているのではないでしょうか。
よくショップのヘルメット置き場に「当店のヘルメットは全てJCF公認ヘルメットです」とか書いていることがあります。
そもそもJCFとは?
日本自転車競技連盟(JAPAN CYCLING FEDERATION)のこと。JCFは日本における自転車競技界を統括し代表する公益財団法人です。様々なイベント管理や、ロードレース選手管理など、とにかくありとあらゆる自転車関連の中心団体。
ちなみに実業団の方はJBCF(Japan Business Cycling Federation)です。
JCF公認ヘルメットとは
自転車競技連盟やその加盟団体が主催するレースで使用が認められたヘルメットの事。各ヘルメット販売元(正規輸入代理店)がJCFに申請し、様々な審査を通過したものがJCF公認ヘルメットとして認められます。
審査内容は結構細かく大きく分けて次のような項目がテストされます。
- 材料試験(汗試験・頭髪油試験)
- 外観試験
- 構造試験
- 質量試験
- 衝撃吸収性試験
- あご紐強度試験
特に厳格にテストされるのはやはり衝撃吸収試験とあご紐強度試験のようです。細かな審査内容はコチラの公式試験基準PDFをご覧ください。
品質基準の確保
このJCFの審査に通過したJCF公認ヘルメットは、ある一定の品質を確保している安全なヘルメットであるという事が言えます。
レースに出るにはJCF公認ヘルメットを
多くのロードレースの出場規定で、「ヘルメットはJCF公認ヘルメットを使用すること」という項目があります。
レース等に出場する際には公認ヘルメット以外の使用は許可されていない場合が多いので、必ず公認ヘルメットを準備しておく必要があります。
JCF公認シールを確認する
JCF公認として販売されているヘルメットには、JCF公認シールが貼られています。
↓こんなヤツ↓
私が普段トレーニングで使用しているヘルメットはOGKのREGAS-2。公認年度は2013年のシールなので、もう買い替えないとそろそろヤバいですね。買い替えます。。。
JCF公認ヘルメットの一覧確認
なお、どのヘルメットがJCF公認なのか?はJCF公式サイトに公認ヘルメット一覧があるので確認してみるとよいかもしれません。
2017年7月現在、JCF公認ヘルメットとして認可されているのは全193個。
中には「条件付き公認」というものもあるので、自分のヘルメットがどのような基準になっているのか確認してみるのも面白いですね~。
その他のヘルメット基準
JCF公認ヘルメットはあくまでもJCFがある一定の安全基準に従って定めた認可ヘルメットですが、JCF以外にも○○基準というのはいくつかあります。
SGマーク
出典:http://www.sg-mark.org/
一般財団法人製品安全協会のSG基準。こちらもある一定の安全基準を確保した製品につけられるマークです。おそらく最も世間一般に知られているマークでしょう。
CEマーク
出典:https://ec.europa.eu/growth/sites/growth/files/ce-mark.jpg
EUで販売(上市)される指定の製品に基準適合マーク(CEマーク)を表示することです。ヨーロッパ基準の安全規定。
CPSCマーク
出典:https://ec.europa.eu/growth/sites/growth/files/ce-mark.jpg
米国消費者製品安全委員会。アメリカの国消費者製品安全法に準拠した安全規定。確かSGマークより基準が厳しかったような・・・
JCF推奨マーク
JCF公認とは別にJCF推奨ヘルメットというものも存在します。
自転車競技連盟競技連盟の「ヘルメットの性能およびその試験基準」に合格しているか、SG、CEマークの表示がされているかというのが条件のようです。安全性の性能としてはクリアしていますが、形状やその他の理由でロードレースでは使用できないことが一般的です。日本自転車競技連盟および加盟団体の主催する競技大会では着用できません。
ロードバイクであればとりあえずJCF公認ヘルメットを
ロードバイクに乗るのであれば「とりあえずJCF公認ヘルメットを買う」という選択肢で間違いないでしょう。レースに出るのであれば尚更JCF公認マークは必須です。 ただ、安全基準としてはJCF公認でもJCF推奨でもSGでもCEでもある一定の基準はクリアしているので問題ないでしょう。
海外通販や個人輸入では注意しよう
海外メーカー製品の場合、JCFへの公認申請は基本的に日本の正規代理店が行っており、正規代理店経由の製品に対して公認シールが貼られます。同じヘルメットであっても海外から直接輸入した場合、このJCF公認対象外になる場合があるので気を付けましょう。
そういった意味では国内通販か、ショップでの直接購入が無難かもしれませんね~。。。
ヘルメットの根本役割を再認識する
冒頭にも述べたように、ヘルメットの根本的な役割は安全性です。乗り手の頭を守る事。
空気抵抗やデザインなどももちろん重要ですが、まずは原点に返ってヘルメットの役割を再認識したいですね。
あご紐の締め方もずれないか確認しましょう。キツめに締めてOKですよ。
私の常用ヘルメットも買い替え時なので、新調することにします。
去年のサイクルモード2016から注目していたOGKカブトのAERO-R1。
空力と通気性を両立したショートエアロヘルメットです。これ買います。 もちろんJCF公認。
インプレ記事追加
AREO-R1を購入!インプレ記事を追加しました。
→コチラから
最新情報をお届けします