前回インプレを行ったヴィプロス社のロードバイク向けチェーンオイル3兄弟(「ムオン」「ケイテン」「ブルーノ」)の「ムオン」「ケイテン」。
こちらに引き続き、次は2019年現在、ヴィプロス社チェーンオイルのフラッグシップモデルにあたる「ヴィプロス ブルーノ」のレビュー・インプレです。
走行条件
走行時の条件は3種類とも同じ条件で走行しています。
- タイヤ:コンチネンタルグランプリ5000
- 空気圧:7.0bar
- ホイール:ボーラウルトラ50
- チューブ:ヴィットリアブチルチューブ
今回ブルーノを使用した走行距離は80kmほどです。
ブルーノの特徴・スペック確認
ここで改めてヴィプロス「ブルーノ(Blue-no)」の特徴とスペックを確認してみましょう。
購入価格:2,376円(税込)
特徴:ドライでもウェットでもない ”サスペンド系” という新ジャンル!!ムオンの静寂性とケイテンの潤滑性能・メンテナンス性を併せ持つフラッグシップオイル。
サスペンド系オイルという新ジャンル
これまでチェーンオイルには
ドライ系
ウェット系
セラミック系
という3ジャンルが主でしたが、ここにきて新たなジャンル「サスペンド系」を提示してきたのがこのブルーノです。
ポイントを言うと・・・
サラッとして汚れにくいのに、しっかりと被膜を形成して潤滑してくれる
と言うものです。
もっと簡単に言うと
ベースオイルの成分、添加剤の成分や割合については非公開とされ、ヴィプロス社の「独自処方」として紹介されていますので、詳細は不明。
チェーンオイルは耐久性と防汚性を両立することが非常に難しいのですが、ブルーノはその両方を克服し、理想に近い形で両立させたチェーンオイルといっていいでしょう。
浸透がめちゃめちゃ早い
これは実際に使ってみると分かるのですが・・・
ケイテンも充分に粘性の低いシャバシャバ系のオイルでしたが、ブルーノはそれ以上に粘性が低いです。本当に水みたいにチェーンに染み込んでいきます。
もちろん1コマ一滴で十分。
そして驚くべき浸透の速さ。
これはヴィプロスの公式HPにも書いているのですが、オイル注入後3~5分でチェーン内部に十分に浸透します。ワコーズのチェーンルブやAZオイルなどは、場合によっては1日程「寝かせる」ことにより、より効果を発揮するといった神話もありますが、このブルーノに関しては全く不要。即効性がハンパないです。
この浸透性は私がこれまで試したきたオイルの中でも体感できるレベルで過去最高です。
コマからはみ出たオイルはウェスで拭きとってあげます。
↓塗布直後のチェーンの様子↓
ブルーノ、お前がナンバーワンだ
結論から言ってしまいましょう。
ブルーノ、お前がナンバーワンだ
もうね、お世辞抜きで最高ですよこのオイル。
あらゆる面おいてムオン、ケイテンを上回っています。
ケイテンの本領発揮は時速35kmを超えたあたりからの高速域でした。
これは極圧剤を多く含んだオイルに共通する特徴で、切削油の役割を果たす極厚剤を使用します。高負荷になると凝着箇所を削り、凝着を防ぎ、結果的に抵抗を減らすことができます。「負荷が高くなった時の抵抗を少なくするためにあえて摩耗させる」ことによりペダリングを軽くします。
その性能はブルーノでも十分に感じることができます。むしろケイテンよりよくペダルが回る印象です。AZ(エーゼット) BIc-007にも全く劣っている印象はありません。
低速域においてもムオンのオイル定着性を引き継いでいるおかげか、ケイテンよりもスムーズにペダリングすることができると感じました。これはあくまでも私の個人的な体感です。
ムオンが「ヌルヌル系」のペダリング、ケイテンは「カラカラ系」のペダリングなのですが、ブルーノもどちらかというと感覚的にはケイテンの「カラカラ系」です。
特記すべきは汚れにくさ
ここまでの話はあくまでもペダリングがどれだけ軽くなったかという話で、正直ケイテンと比べてもどっこいどっこいな部分があるのですが、ブルーノの驚くべき所はそのメンテナンス性・・・というか圧倒的汚れにくさにあります。
普通、粘性の高いシャバシャバ系のオイルと言えば、ケイデンスが高くなるに比例してオイルが飛散し、ホイールやフレームなどにオイルが飛んで汚れしまう・・・というのはよくある光景でした。
しかし、ブルーノは全くない!!!!!
水のようにシャバシャバ系なのに、全くと言っていい程オイルが飛散しない!!!!!
みて下さいこの写真。
これはブルーノを使って40km程走った後のホイールとチェーンの状態です。
まずはチェーンの状態↓
そしてホイールのオイル飛散状態↓
ホイールのデカールを見て頂けると分かるのですが、全くと言っていい程オイルが飛散していません。
いや、これ凄いことなんですよ。
別のオイルで同様の距離を走った時のホイールのオイル飛散具合を見てみましょう。
まずはムオン↓
ケイテン↓
そしてAZ(エーゼット)の BIc-007 BANK↓
AZオイルは結構拭き取った状態で走行してこんな感じです。もう酷いのなんのって・・・。
これが「サスペンド系」と言われるオイルの真骨頂です!!!
シャバシャバ系オイルでAZ BIc-007 BANKやヴィプロス ケイテンなどのレース用超潤滑オイルと同等の潤滑性能を持ちながら、粘性の高いオイル並みに飛散しない。
この一見矛盾した状態を作りだす事ができるヴィプロスのブルーノ。
脱帽ものです。
いや、本当にびっくりするくらい汚れません。
静音性はムオンの方が上
ムオンとケイテンの両方の特性を併せ持つといっても、明らかにムオンの方が秀でている部分があります。
それはチェーンの音鳴り。
音鳴りに関しては圧倒的にムオンの方がブルーノよりも優れています。
これは体感レベルで分かるムオンの粘性の高さ故。
チェーンの音鳴りに関して究極性を求めるのあればブルーノよりもムオンの方が勝っているでしょう。
高級オイルに相応しい性能
このヴィプロス社のブルーノに関しては、コンチネンタルグランプリ5000と同じくらい手放しで評価することができます。
私はヴィプロス社からスポンサーを受けているわけでも、良い事を書いてくれと頼まれたわけではありませんが、このブルーノに関してはレースからホビーライドまで全てのライダーを満足させるだけの性能を持っていると言っても過言ではありません。
ヴィプロスは52mlで約2,300円と、ロードバイクのチェーンオイルにしては高級オイルの分類に入ります。
高級オイルだから性能よくて当たり前・・・と思えるかもしれませんが、私はこれまでここまで潤滑性能、耐久性、防汚性、メンテナンス性の全てに優れたオイルに出会ったことはありませんでした。
このヴィプロス ブルーノが発売されたしばらく経ちますが、もっと早く出会っていればよかったと後悔の念すら覚えます。
しばらくはこのヴィプロス ブルーノにお世話になることになりそうです。
果たして、このチェーンオイルを凌駕するオイルに出会う事はあるのだろうか・・・。今後のチェーンオイル業界の行く末に目が離せません。
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