冬になるにつれて暗くなる時間も早くなり、ロードバイクにライトの装備が欠かせない時期となってきます。そんなロードバイクのライトを選ぶ時に迷うのが、どの明るさを選べばいいか、ということ。
まず、ライトの明るさを判断するには3つの明るさの単位と違いを知っておく必要があります。
「ルーメン」
「カンデラ」
「ルクス」です。
ライトの仕様表記でも見たことあると思います。40ルーメンと書いてあったり200ルーメンと書いてあったり、550カンデラと書いてあったり・・・。
色々なサイトを見てみると「このライトは300ルーメンあるので明るさも充分!」とか書いてたりしますが、実は一つの単位ではライトの性能は判断できません。ではそれぞれの違いを見てみましょう。
とは言っても、言葉だけで説明するとかなり混乱するので、下の図でもって説明します。
ルーメン(光束)
ルーメンとは、光源(つまりライト)から全方向360°に放射される光全体の量を表す照明用語です。
カンデラ(光度)
光源から特定の方向に照射される光の強さを表す単位です。照らす方向によって数値は大きく変化します。
ルクス(照度)
ルクスとは光源から照射された光に照らされたある面の明るさを表します。
照らされた面の明るさなので、光源からの距離や角度によって大きく変動します。一般的に蛍光灯を使用した部屋(床)の明るさ表記に用いられる事が多く、自転車ライトの表記には使われる事が少ないようです。なのであまり当記事では触れません。
つまり・・・どういう事だってばよ?
ルーメンだけで指定したり、カンデラだけで指定すると、本当に正確なライトの性能が分からないという事になります。
例えば色んなサイトでおすすめ人気商品であるキャットアイフロントライトVOLT800というライトは最大800ルーメンという明るさ表記です。一般的に800ルーメンと言えばかなり明るいカテゴリに入ります。では800ルーメンは何カンデラなのでしょうか?
・・・実は照射角度が分からなければ何カンデラかを計算することはできません。
例えば次のような値になります。
800ルーメンで照射角度25°であれば約5,300カンデラ
800ルーメンで照射角度30°であれば約3,700カンデラ
計算にはこちらのサイトを参考にさせて頂きました。
→明るさ計算
もっと専門的な計算方法や定義が知りたい方はコチラ(日本電気技術者協会)を参考にしてみて下さい。
・・・私は式を見ただけで吐き気がしてきたので、見なかったことにしました。
このように、同じルーメン値であれば照射角度が狭くなれば狭くなるほどカンデラは高くなります。
極端な例でいえば800ルーメンで照射角1°の場合は3,343,860カンデラというとてつもない明るさになりますが、これは光源から角度1°の光となるので、レーザービームのようなライトになります。これでは自転車ライトとしては意味ないですね。。。
またこちらのライトキャットアイVOLT300でのAmazon上の商品説明には次のように表記されています。
「300lm(約4500カンデラ相当)の明るさを放つハイパワーヘッドライトです。」
しかしこれも単純に300ルーメン=4500カンデラと思ってはいけません。このカンデラ数も照射角が分からなければ導き出すことはできません。
上記説明から逆算するとVOLT300の照射角は16.7°であることが分かります。
つまり、300ルーメンの光量で16.7°の照射角度の場合は4500カンデラの明るさを感じることができる・・・ということです。
上の二つのライトを例に取ると
キャットアイVOLT800
→800ルーメン
キャットアイVLOT300
→300ルーメン
という仕様ですが、例えば照射角度をそれぞれ
VOLT800→照射角27.3°
VOLT300→照射角16.7°
と仮に設定した場合は同じ4,500カンデラという結果になります。
実際の製品はライトの照射角度は固定されているので変更できないことがほとんどです。VOLT800の照射角度は明記されていませんでしたが、同一規格のVOLT300と同じ照射角度(16.7°)であると仮定するとVOLT800のカンデラ数は
800ルーメン×照射角16.7°=12,011カンデラとなります。
結果的にVOLT800(800ルーメン)とVOLT300(300ルーメン)では照射角度が同じだった場合にVOLT800のほうがライトを中心から見た場合に約2.6倍の明るさを感じることができるという事になります。
(VOLT800→12,011カンデラ。VOLT300→4,500カンデラ。)
結局どうやってライトを選べばいいのか?
と、まぁ色々と細かく書きましたが、結局どうやって選べばいいのか?
昨今のロードバイクで使用されるライトはルーメン表記が多くなっている傾向にあります。各メーカーが使用単位バラバラだと比較しにくいので、ようやく使用単位が統一されてきた感じですね。
一般的には市街地での走行は最低でも100ルーメン以上が望ましいとう見解があります。
街灯のない道を走る場合は200ルーメン以上推奨となります。
ライトにルーメン表記で記載があればいいのですが、カンデラ表記の場合はやはり照射角度が分からなければルーメンは導き出せません。
どの程度の明るさが欲しいのか人それぞれでもありますが、一般的な市街地を夜間練習などで走行する場合は200ルーメン以上2500カンデラ程のライトであれば適切かなと思います。(つまり照射角18°くらい)
しかし、通販などでは照射角度まで仕様が記載されているライトは少ないです。(というかほとんど見かけません)
一般的にフロントライトは13°~25°の間に当てはまると思うのですが、1°違うだけでも結構違いますからね。。。
一番よい方法はお店で詳しいスタッフの方に聞いてみることです。(結局そうなる)
「◯◯カンデラ以上で照射角◯◯度くらいのライトありますか?」と。
おお、このお客さんライトにこだわってるな。と思われることでしょう。
以上、よくわからいライトの単位の違いでした。
これでも分かりにくかったらすみません。。
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