2017年11月某日、パナレーサー待望の新タイヤ「パナレーサーGILLAR(ジラー)」25Cを購入したのでそのインプレを行います!
ジラーは、現時点でパナレーサー最軽量を謳っており、前身モデルの「RACE L EVO3」の後継タイヤにあたります。
私個人の印象としてはRACE 2もRACE3も正直微妙なタイヤ・・・というかミシュランPOWERやヴィットリアコルサ、P ZERO ヴェロに遠く及ばない評価となったタイヤだったので、どこまで進化したのか期待が高まります。果たしておすすめタイヤとなるのでしょうか。頑張れ日本製!
使えるタイヤ?
サイクルスポーツの紹介ページでも「同社最軽量を実現した『使える』軽量ロードタイヤ「GILLAR(ジラー)」が登場!」などと表現されていて思わず吹き出しました。 今までのタイヤは使えなかったってことかよ(笑)
いやぁ、特に意図はないのでしょうが、皮肉たっぷりです。
果たして本当に「使える」タイヤなのでしょうか。百聞は一見にしかず。
どうでもいいですが、パッケージがヴィットリアコルサのパッケージと同じく六角形。ライバル視してるのかな?(笑)ヴィットリアコルサのパッケージがマット仕上げなのに対して、パナレーサーGILLAR(ジラー)はテカテカです。
パナレーサーGILLAR(ジラー)の特徴
トレッドには「ZSGアドバンスコンパウンド」と呼ばれるものが採用されています。メーカー説明によると、「高いグリップ力を維持しながらも、転がり抵抗の軽減を実現した新設計のコンパウンド。従来品(RACE L EVO3)に比べて約20%もの転がり抵抗軽減を実現した。」とのこと。
もういい加減この「★★%向上!!●●%軽減!!」という謳い文句には飽き飽きしてきましたが(あと2回モデルチェンジしたら倍の性能じゃねーか)、実際どうなんでしょ。
まぁ「高いグリップ力で転がり抵抗も少ない!」なんてのはどこのメーカーも言ってることなので、あとは実際にその差が感じられるかどうか、実践投入しかありません。
その他、ケーシングや対パンクベルトはRACE L EVO3と同様のものを採用しています。
重量実測!!果たして最軽量か・・・
さてさて、お待ちかねの重量実測。パナレーサー最軽量と言われているからには計測せずにはいられません。
ちなみにメーカー公表重量は
23C→154g
25C→161g
ではでは早速キッチンスケールに乗せます。
GILLAR(ジラー)25Cまずは1本目・・・
・・・159g
合格!!!!
そして2本目
・・・162g
うーん、合格ッ!!!
2本合算すると公表重量よりマイナス3g!!これは完全に合格ライン。
他のタイヤと比べると同でしょう。
最近使用したのはピレリのP ZEROヴェロ25C。こいつは実測値210gと205gでした。↓
そしてコンチネンタル アタック”フォースのフォース25C。
こいつは実測224g。↓
うん、パナレーサーGILLAR(ジラー)、めっちゃ軽いやん。やるやん。
タイヤ進行方向があります
ちなみにパナレーサーGILLAR(ジラー)はトレッドパターンに沿ってタイヤの進行方向が決まっています。
タイヤ側面にFRONT、REARの矢印が表示されているので間違わないようにしましょう。(最初間違って逆につけた私)
いざ実走インプレ
さてさて、パナレーサーGILLAR(ジラー)が軽いことは分かりました。
果たして実際の走り心地はどうでしょう・・・。
ファーストインプレを行ったこの日は晴れ。江戸川沿いに4時間程走ってきました。
空気圧は110PSI(約7.5bar)にしています。
これまでもオールブラックタイヤだったので、全体的な見た目はほとんど変わっていません。
パナレーサーGILLAR(ジラー)の走り心地
まず最初に感じたことは、とても「硬い」タイヤだということ。
トレッドも薄く、軽量化を最優先した薄い作りのタイヤなので、当然と言えば当然ですが、振動吸収性は高くありません。
乗り心地としては、ミシュランPOWERに近い感じ。路面の振動はダイレクトに伝わります。
軽量化を最優先したタイヤの作りや目的からして、ロングライドにあまり向かないことは明白なのですが、長時間乗ってると結構疲れると思います。
パナレーサーGILLAR(ジラー)の転がり抵抗
転がりに関しては、過去のパナレーサータイヤであるEVO2やEVO3よりは明らかに良いです。
新しいZSGアドバンスコンパウンドのお陰かどうか分かりませんが、「転がり抵抗20%軽減!!」という自信も分かる気がします。
パナレーサージラーはタイヤ構造からして、エンデュランス目的のレースではなく、どちらかというとクリテリウムやTT向けのタイヤです。
そうすると、必然的にライバルとなるのは、他メーカーのTTタイヤ。
コンチネンタルグランプリTT
ピレリ P ZERO ヴェロTT
コンチネンタルスーパーソニック
などなど・・・
ピレリP ZERO ヴェロとパナレーサーGILLAR(ジラー)を比べると・・・
私の場合、2017年8月にピレリのノーマルP ZEROヴェロを購入して2000km程走りました。(インプレ記事はコチラから)
ELOP ZERO ヴェロTTは試したことありません。しかし、海外のデータによると、当然のようにノーマルZ ZEROヴェロよりもP ZEROヴェロTTの方が転がり抵抗が低いです。
↓下記ページ下部「Rolling Resistance Test Results」参照↓
ピレリ P ZERO ヴェロの転が抵抗データ ピレリ P ZERO ヴェロTTの転が抵抗データ
そして、これはあくまでも私の感覚なのですが、今回のパナレーサーGILLAR(ジラー)とノーマルP ZEROヴェロの転がりを比較した場合、どう考えてもパナレーサーGILLAR(ジラー)よりもノーマルP ZEROヴェロの方がよく転がります。
となると・・・当然P ZERO ヴェロTTの方がパナレーサーGILLARよりもよく転がり、TTにも向いている・・・。という結果に至ります。
うーん、いや、確かにこれまでのパナレーサータイヤよりは断然転がり抵抗は低いと思います。ただ、他の同系列の優秀タイヤと比べると・・・うん、頑張れパナレーサー!!!
パナレーサーGILLAR(ジラー)のグリップ力
グリップに関しては、「普通」でした。
いや、何をもって「普通」やねん、って感じですが、特に可もなく不可もなく・・・という感じ。
あえて言うならミシュランPOWERよりはコーナー時のグリップは効くと思う。しかしやはりヴィットリアコルサには遠く及ばない・・・。
が、特に困るレベルではなく、ふつーに使えます。
まとめ:パナレーサーGILLER(ジラー)は「使える」タイヤなのか?
さて、冒頭で出した謳い文句「同社最軽量を実現した『使える』軽量ロードタイヤ「GILLAR(ジラー)」が登場!」は本当だったのでしょうか。
結論から言うと、「使えない事はないが、他にももっと使えるタイヤはある」です。
いや、マジで複雑な心境だ・・・。
もちろん目的にもよります。
ロングライド目的だったら絶対使わない。
普通のロードレースやクリテリウムなら他のタイヤでよい。
ヒルクライムなら・・・コンチネンタルスーパーソニックかな。
ただ、重量に関しては本当に優秀です。パナレーサーGILLAR(ジラー)23Cタイヤの場合、コンチネンタルスーパーソニック23C(公表値150g)に勝るとも劣らない154gです。・・・これもまた微妙な数値で複雑な気持ちですが。
ただ、P ZERO ヴェロTTと同等の転がり抵抗の低さを持つコンチネンタルスーパーソニックです。3gの重量差はあれど、ふつーのクライマーであればパナレーサージラーよりもスーパーソニックを選んでしまいそうです。
価格設定が・・・
もう一つ、評価のネックとなっているのは、このパナレーサーGILLAR(ジラー)の価格です。パナレーサーのフラッグシップモデルだけあって、小売り価格は1本約6,000円前後とEVO3と比べて値段も強気です。店舗やネットショップにもよりますが、私が買った楽天では5,500円台(税込)が多かったです。(実店舗は基本的に定価もっと高いです。)
しかし、この価格帯であれば、ライバルとなるミシュランやコンチネンタル、ピレリのフラッグシップタイヤがあと少しで手に届く価格帯になってしまいます。
恐らく、各メーカーのフラッグシップタイヤで迷っているサイクリストにとっては、1000円、1,500円程度の価格差は「誤差」の範囲で物色しているはずです。そうなると、どうしても他のフラッグシップタイヤの中に埋もれてしまいます。
あと2,000円くらい安くなって、EVO3と同じ3,500円~4,500円くらいの価格帯になれば買う人ももっと増えるんだろうけどなぁ。
正直、現段階ではコスパのよいタイヤとして紹介する事はできません。
あ、いや、あくまでも他メーカーのフラッグシップモデルと比べると・・・という話で、もちろんパナレーサーGILLAR(ジラー)自体の基本性能は高いし、前身モデルのパナレーサーRACE L EVO3よりは確実に高性能なタイヤなのです。パナレーサーしか使わない!という方にとってはおすすめのタイヤですが。
「最軽量」はホント。マジで軽い。
「(他のフラッグシップタイヤと比べて)使えるタイヤ」かどうかは・・・あと1000kmくらい走ってみて最終判断インプレしようと思います。。。
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