プラズマ電解酸化皮膜処理とは何か?

当サイトでも度々出てくるホイールのリムに施されている特殊加工「プラズマ電解酸化皮膜処理」についてもう少し詳しく見ていきましょう。

2014年度あたりから徐々に出てきたこの処理。
マビックではキシリウムSLRに使用されているエグザリット加工とも呼ばれています。
実はフルクラムのレーシングゼロNite(ナイト)にも同じ処理が施されています。メーカーにより独自の呼び方はありますが、どちらも「プラズマ電解酸化皮膜処理」という金属の表面加工です。

見た目の特徴としては、マットなブラックの表面にカーボンのような見た目が特徴です。元の素材はカーボンではなく、アルミです。

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エグザリット加工やプラズマ電解酸化皮膜処理のホイールにおけるインプレやレビューを見ていると「とにかくブレーキ性能が向上し、見た目もかっこよくなった!!」とう内容がほとんどです。
確かに、最終的な性能の向上点としてはそうです。では、一体どのような処理がそのような効果をもたらしているのでしょうか。ちょっと詳しくプラズマ電解酸化皮膜処理とブレーキ性能について見ていきましょう。

プラズマ電解酸化皮膜処理は実は2000年からあった

「とにかくブレーキ性能が向上した!!」という主観的な感想がほとんどと述べましたが、そうなるのも仕方ありません。プラズマ電解酸化皮膜処理自体はとても専門的な金属の表面処理で、金属加工やエネルギー系の職種、または研究をされている方以外に簡単に理解できる術はありません・・・。(当然私も専門外です)

このプラズマ電解酸化皮膜処理がロードバイクに使用されるようになったのは最近(2014年あたりから)ですが、技術自体は以外と前からあります。日本におけるプラズマ電解酸化皮膜処理は、自動車のFord社が2000年に日本特許を取得しています。(特許NO:JP2000226692)。
この特許文書の中ではPEO法(Plasma Electrolytic Oxidation)という名称が使用されているそうです。これがプラズマ電解酸化皮膜処理の由来です。

実はプラズマ電解酸化皮膜処理の実用化に向けての研究は1970年代からスタートされたものです。

化学的な説明を見てみる

では、プラズマ電解酸化皮膜処理の化学的な説明内容を見てみましょう。
JTEKT様の論文から引用します。

 


難陽極酸化処理材を含む軽金属材に対して適用され、Hv1000程度の高硬度で平滑な表面膜が得られる特長を持つ。
.本処理は陽極酸化と同様に金属を陽極とし,ジルコニウムなどを含む電解液中で高電圧を印加してアーク放電状態下で皮膜を形成する
.このとき,陽極酸化による皮膜形成と同時に,電解液中に存在するジルコニウム塩を原料としたセラミックス膜を形成させることにより,高硬度で平滑な皮膜が得られる.また,処理条件を変えることで,膜厚や表面粗さなどを調整することが可能である。


 

引用元:http://eb-cat.ds-navi.co.jp/jpn/jtekt/tech/ej/img/no1006/1006_07.pdf

プラズマ電解酸化皮膜処理について詳細を知りたい方は、この辺の論文を読んでみるとよいかもしれません。

 

・・・・うーん、なるほど。

よくわかりません(笑)

 

やはり、最終的な結論として、アルミのリムに特殊な化学変化を起こすことで、硬く耐摩耗性が非常に高く、耐熱性や対疲労強度に非常に優れたリムを得ることができたぜ!ブレーキ性能もアップだぜ!!という中間プロセスをすっ飛ばした結論に至りそうです。

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耐久性とホイールの寿命は延びるのか

ただし!上記の説明で、我々一般人にも1つだけ重要な単語があります。
それは「Hv1000」という言葉。

このHvとは物の硬さを表す単位です。ビッカーズ硬度(Vickers hardness)と呼ばれています。この硬度がリムとブレーキの関係性をある程度分かり安く説明してくれます。

現在(2015/7)マビックのエグザリットの加工はイギリスのKERONITE社の手によって行われています。
それによると、通常のアルミリムでビッカーズ硬度は105~155Hvとなっています。
しかし、エグザリット加工、つまりプラズマ電解酸化皮膜処理を施された場合のビッカーズ硬度は何と1500Hv!!約10倍です。

単純に考えると表面硬度も摩耗耐性も通常のアルミリムの10倍。別次元の耐久性であることが想像できます。

通常のアルミリムでは、ブレーキシューとリムの摩耗によってブレーキをかけます。
この時、ブレーキシューが削れているように見えますが、実はリムも削れています。ブレーキをかければかける程リムは摩耗して劣化し、形状変化を起こします。

しかし、プラズマ電解酸化皮膜処理を施したリムの場合、リムの摩耗耐性が非常に高いので、ブレーキシューとの摩耗でリムが削れる割合が極端に少ないのです。(ほぼ無いと言ってもいいかもしれません。)
つまり、その分リムの形状変化を抑えられ、ホイール自体の寿命も大幅に伸びるのです。

まとめ

諸々科学的な説明と理解は後回しにして、結論だけまとめます。プラズマ電解酸化皮膜処理を施されたマビックキシリウムSLRやレーシングゼロナイト(NITE)はやはり次の点において大きな差を生みます。

  • リムの摩耗耐性UP
    →特殊な表面加工によりリム表面の摩耗耐性が大幅にアップ。ブレーキによってリムが削れて形状変化することがない。
  • ホイール自体の強度UP
    →リムの形状変化が少ないということが総じてホイール自体の強度もアップしている。
  • ホイールの寿命UP
    →リムの摩耗と形状変化を抑え、強度を上げたことでホイール自体の寿命も延びます。

実は高い購入費用をペイできるだけのコストパフォーマンスがあるかもしれません。

以上、長くなりましたが、個人的にプラズマ電解酸化皮膜処理についてまとめてみました。

この加工はこれから多くのアルミホイールでも使用されることでしょう。
この性能に納得できたらマビックキシリウムSLRやレーシングゼロナイト(NITE)を購入するよいきっかけになるかもしれません。

→フルクラムレーシングゼロのスペック詳細記事

→マビックキシリウム2015年のスペック詳細記事

→マビックキシリウム2017年モデルのスペック詳細記事

 

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