以前、コチラの記事で真冬のロードバイクトレーニングアイテムとして0℃帯対応のシューズカバーを挙げましたが、今回はそのシューズカバーにおけるエアロ効果・空気抵抗削減についてちょっと見てみます。
ロードバイクでの速さを決める大きな要素として空気抵抗があります。皆この空気抵抗をできるだけ削減するためにディープリムのホイールやエアロなフレームを装備しようとします。 しかし、ロードレースにおける空気抵抗で最も大きな割合を占めるのは、ロードバイク本体でなく、乗っている人間の空気抵抗なのです。
後に紹介するこちらの資料には大ざっぱにタイムトライアル時の空気抵抗の割合は10%が車体、残り90%は乗っている人間とまで結論づけています。
また、私もよく読ませて頂いているコチラの本「ロードバイクの科学」によると人間の空気抵抗は70~80%とのことです。
いずれにせよ、乗っている人間自身の影響がかなり大きいことには違いありません。
風洞実験上ではフレームやホイールのエアロ化よりもフォームやウェアの空気抵抗を減らした方がタイムは早くなる結論となっているようです。
シューズカバー着用で330m差がつく?
人間の空気抵抗を決める要素としては次の2点が決定的です。
- ロードに乗る人のフォーム(エアロポジション)
- 着用している物(服やヘルメット)
ポジションについては話が尽きないため、今回は2番目の着用している物に注目してみます。
まずは先ほどのコチラの資料を参考に考察します。
実際の40Kmタイムトライアルでの機材の交換による空気抵抗の削減量とタイム差の実験資料です。装備変更前の基準として、距離40kmを48分で走る選手を実験基準としています。(つまり平均時速50kmくらい)。原文は英語なので、機材による空気抵抗の削減とタイム短縮の図を日本語に訳して当サイトに掲載させて頂きます。
比較対象 | 変更点 (変更前)→(変更後) | 空気抵抗削減 | 40km個人TTでの時間短縮効果 |
---|---|---|---|
1. ジャージ | 普通のロードジャージとレーパン →TT用スキンスーツ | -289g | 134秒 |
2. ポジション・エアロバー | ブルホーンバーを持ち身体を起こす →DHバーでエアロポジションを取る | -262g | 122秒 |
3. エアロヘルメット | 普通のロード用ヘルメット →TT用エアロヘルメット | -144g | 67秒 |
4. ポジション | 通常のポジション →風洞実験で最適化したエアロポジション | -121g | 56秒 |
5. 進行方向に対し10度の向かい風におけるフロントホイール | 3-5本スポークホイール →12本スポークのディープリムホイール | -90g | 42秒 |
6. エアロシューズカバー | シューズカバーなし →シューズカバーあり | -65g | 30秒 |
7. 正面からの向かい風におけるリアホイール | ディスクホイール →3本スポークホイール | -63g | 29秒 |
8. 正面からの向かい風におけるフロントホイール | 24本スポークロープロファイルアルミリムホイール →5本スポークホイール | -50g | 23秒 |
9. フレーム | 普通のチューブのTTバイク →エアロチューブのTTバイク | -36g | 17秒 |
10. エアロヘルメット | TT用エアロヘルメット →最適化されたエアロヘルメット | -29g | 13秒 |
こちらの資料によるとフレームやホイール等のロードバイク自体のパーツを除いた場合、次の着用物が上から順に影響が大きくなります。
- ジャージ(スキンスーツ)
- ヘルメット
- シューズカバー
1のジャージや3のヘルメットは何となく想像がつきますね。
ジャージについては基本天気にピチピチのスキンスーツになればなる程空気抵抗は削減されます。ヘルメットは穴が開いていないタイムトライアル用のヘルメットに交換するだけでも効果が大きいようです。
(これについてはまた別記事でピックアップしたいと思います。)
空気抵抗に関する風洞実験は多く行われていますので、それらの資料も参考にしてみると面白いかもしれません。
しかし、この中で以外と見落としがちな物が6項目目のシューズカバーです。
「シューズカバー=冬の防寒」という認識が強いためか、なかなか冬季以外にシューズカバーを着用する人は見かけません。
先ほどの資料によると、平均時速50kmくらいの選手がシューズカバー無しからシューズカバーありに変更した場合、距離40kmのタイムトライアルで65gの空気抵抗削減と30秒のタイム短縮が結果として上がっています。
単純に考えて平均時速50kmとすると、30秒のタイム削減はゴール地点で距離400mの差となります。シューズカバーを着用するのとしないのでは400mも差が出る結果となったのです。
これはロードレースにおいては大きな差となります。
10km程の小規模なクリテリウムレースでもシューズカバーがあるのとないのではゴール時点で100m程も差がつく計算となります。(40km比較と同一条件の場合)
シューズカバーは防寒のためだけではない
もはや防寒だけではなく、空気抵抗削減という観点においてもシューズカバーの存在を軽視することはできません。
特にシューズカバーはアマチュアレースでも使用している人の割合が少ないアイテムなので、大きな差をつけることができる可能性を秘めている隠れた優れものアイテムと言えるでしょう。
夏場は薄いシューズカバーを。
冬場はコチラの記事でも書いているように0℃対応のシューズカバーを着用することをおすすめします。
私はパールイズミ大好き人間なので、おすすめはパールイズミ7000プレミアムシューズカバーです。完全防風、保温、反射、透湿を備えたパーフェクトなシューズカバーです。
Wiggleでの取り扱いはなかったので、Amazonまたは楽天からの購入か格安で早いです。
夏場など、特に防寒を意識しないのであればおススメはこちらの
パールイズミコーティングシューズカバー
同社の風洞実験によるとエアロフレームを使用するよりもこちらのシューズカバーを着用したほうが空気抵抗の削減率が高いそうです。タイムトライアルでは人気のシューズカバーですね。
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