今年2018年4月にカンパニョーロコンポ12速化のニュースと共に発表され、カンパニョーロ好きには興奮せずとはいられないホイール。
ボーラ WTO (BORA WTO)
私もいちボーラユーザーとして見逃せません。
このホイールが発表されて数ヵ月経ちますが、今回諸々カンパニョーロの人にも話を聞いたので、改めてボーラWTOの特徴とおすすめポイントを振り返ってみましょう。
ボーラ ワン、ボーラ ウルトラとは別もの
まず認識しなければいけないのは、このボーラWTOは現行のボーラワンやボーラウルトラとは全く別のホイールということをです。
この2つのモデルチェンジでもなく、下位モデルでも上位モデルでもなく、全く別もの。新ラインナップ。
タイムトライアルやトライアスロンなど混戦の少ないレースで時速40km以上での空力最大化想定して作られたホイールです。
ボーラ(BORA) WTO 60
モデル:クリンチャー(チューブレス対応の2wayフィット)
重量:前後セット 1540g
リムハイト:60mm
リム幅:内径19mm、外径26.4mm
ブレーキ面:3Diamantトリートメント、AC3
ハブ素材:アルミ
ベアリング:USB
スポーク:ひし形断面形状
4月の発表時点では重量1550gとなっていましたが、展示会では1540gに修正されていました。
ボーラ(BORA) WTO 77
モデル:クリンチャー(チューブレス対応の2wayフィット)
重量:フロント 770g (リアは商品化無し)
リムハイト:77mm
リム幅:内径19mm、外径26.4mm
ブレーキ面:3Diamantトリートメント、AC3
ハブ素材:アルミ
ベアリング:CULT
スポーク:ひし形断面形状
WTOはWind Tunnel Optimized
この「WTO」とは「Wind Tunnel Optimized」(風洞最適化)の略で、その名の通りエアロダイナミクスに力を追求したホイールであり、先述したように基本的にタイムトライアルやトライアスロンなど混戦の少ないレースで時速40km以上での空力最大化想定して作られたホイールです。
これまでのボーラシリーズとは位置づけが異なります。
プロモーション映像がユーモラス
これまでカンパニョーロ製品のプロモーション映像と言えば、シリアスでかっこいい系の動画が多かったのですが、このボーラ WTOのプロモーション映像はかなりユーモラスに描かれています。是非一度ご覧あれ。
最大規模の風洞実験とヨー角設計
カンパニョーロはこのホイールの開発にあたいり、過去これまでにない数の風洞実験によりこのホイール形状を編み出しました。
室内における風洞実験
CFD解析
FEM解析
エアロペーパーリサーチ
実走テスト
ect…
※CFD解析、FEM解析はコンピュータ上で行う流体解析と構造解析のこと
その結果、同一ハイトのホイールにおいて、最も高いエアロダイナミクスを発揮することができた、とのこと。
そして、この中で最も重要なのは「実走テスト」である。
ヨー角12°~19°の時に最適化される
このボーラWTOはヨー角(風の角度)12°~19°の時に最大の空力性能を発揮するよう設計されています。
これは実走環境において、統計的に正面(-4°~+4°)の風を受ける比率は30%程で、それ以外は横、斜めからの風を受けるという結果に基づき、その環境に最適化した結果です。
その他の特徴
その他にもボーラWTOにはボーラワンやボーラウルトラにはない独自の特徴が多々あります。
リム内径が+2mmの19C
ボーラWTOのリム内径はこれまでのボーラシリーズと比べて2mm幅広くなり19Cとなりました。
つい数年前?ボーラワンやボーラウルトラが17Cとなりワイドリム化されたのですが、それを更に上回るス―パー?ワイドリム化です。
そのため、装着タイヤは25C~28Cが想定されています。
ちなみに外径は26.4mm。
23Cタイヤの時代は完全終了か・・・
そのため、ボーラワンやボーラウルトラのリム形状と比べて、外から見てもかなり「ふとましい」フォルムになりました。これは実際見るとかなりインパクトありました。
この形状がカンパニョーロが導き出したヨー角12°~19°の時に最大の空力性能を発揮するリムプロファイルの答えだ・・・。
ひし形のハブ形状
ハブの形状もボーラワンとボーラウルトラはストレートだったのに対し、ボーラWTOはひし形(流線形状)に設計されています。正面からの投影面積を減らすことに成功。フランジは今回独自のデザインが採用されて、空気の流れを巻き込むことが無いように設計されています。
形状強度の関係上、ハブ素材はカーボンではなくアルミを採用。
ベアリングは60mmの方がUSB。77mmはCULTベアリングが採用されています。
77mmだけCULTなのはプロユースを想定して、とのこと。ボーラウルトラ的位置づけか?
↓ちなみにボーラ ウルトラのハブ形状はこんな感じ↓
ニップルは従来通り外だし
ボーラWTOのニップルは従来のボーラと同じく外に露出しています。
一見ニップルは外に出さない方が空力がよさそうですが、実はスポークとリムの隙間を完全に埋められない限り、ニップルは外に出して隙間を無くした方が空気抵抗が削減できる、という検証結果に基づいています。
スポークに関しては新しく設計されたひし形断面形状のものが採用されています。
ブレーキにはAC3加工
ブレーキ面にはブレーキ性能向上のためボーラ2018年モデルより共通して採用されているAC3(All Conditions Carbon Control)加工を採用。リムに極薄の溝が彫られています。リム面に細かい溝を設けることで、パッドとリムの間から汚れを逃がし、ドライコンディションでは3%、ウェットコンディションでは何と43%の制動力向上が認められる。
ボーラ WTO 70だけフロントのみ?
ボーラ WTO 70の方はTT用のフロントホイールを想定して開発されたため、リアのラインナップが無いです。(リアはディスクホイールの使用が想定されている)
80mmのリムハイトが当初想定されていたらしいですが、実験の結果77mmが最も良い結果だったため、77mmとしたそう。
クリンチャー・チューブレス対応
もう一つ注目したいのは、このホイールはクリンチャーとチューブレス対応の2wayフィットであるということ。
そもそもカンパニョーロの実験データでも、クリンチャーとりもチューブレスにした方がより高い性能を発揮できる事が謳われている以上、どちらかというとクリンチャーがおまけみたいなもので、チューブレスこそこのホイールの真価を発揮するといっても過言ではないのかもしれません。
ボーラ WTOはおすすめホイールか?
想定ヨー角の範囲やスーパーワイドリム、エアロダイナミクスを追求した形状・・・
この辺りの設計思想はZIPP 454NSWを彷彿とさせるものがあります。よりリムハイトが高いZIPP 858がライバルとして挙がりそうですが、各々の形状によって最適となるリムハイトが異なるのでその辺りも面白い所です。
これらの設計思想や、タイムトライアルやトライアスロンなど混戦の少ないレースで時速40km以上での空力最大化想定して作られたホイールという使用想定からも分かるように、必ずしも万人におすすめできるといったホイールではなく、やはりエアロダイナミクスが重要視されるタイムトライアルなどを行う人にとってはおすすめできるホイール、ということになりそうです。
当然、重量等も含め、ヒルクライムでこのホイールを使おう!という人は少ないと(というかいない)と思います。
その他、クリテリウムなどの比較的短い周回レースでは使用も想定されますが、それ以外の環境ではどうでしょう・・・。
ちなみに、2018年冬発売予定となっていますが、2018年11月時点でまだ正確な発売日や価格は不明である・・・。
ボーラというステータスに新たに加わったブランドですが、今後実践での評価が気になる所です。
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