初めてチェーンリングやスプロケットを交換するサイクリストにとって、ギア比はどう選んでよいかなかなか分からないもの。特に初心者にとってはギア比とは何ぞ?歯数の違いとは何ぞ?となることでしょう。今回はロードバイクにおけるギアの歯数について、初心者向けに違いをまとめてみました。
歯数について知る
よくチェーンリングやリアスプロケットの種類に50-34Tや52-34Tなどの表記を見ます。この数字は歯数を表しています。TはTeethのT。つまり歯数ですね。 フロントのチェーンリングの場合、外側のギアであるアウターリングであれば歯数44~55、内側のインナーリングであれば歯数32~42などの種類があります。
フロントのチェーンリングは歯数が大きくなるほどギアが重くなり、歯数が小さくなるほどギアは軽くなります。また反対に、後ろのギア(スプロケット)は、歯数が小さいほどギアが重く、大きいほど軽くなります。
一般的に初心者向けや、エントリーグレード用のチェーンリングは歯数の少なくコンパクトクランクと呼ばれています。対照的に、上級者やプロのロードバイクノーマルクランク・セミノーマルクランクと呼ばれるものが多く使われています。
コンパクトクランク?ノーマルクランク?セミノーマルクランク?
まずはざっくりコンパクトクランク、ノーマルクランク、セミノーマルクランク、の違いを見ていきましょう。
コンパクトクランク
前のチェーンリング(アウターリング、インナーリング)の歯数の組み合わせが「50-34T」など、比較的小さなものを指します。例えば50-34Tの場合、外側にあるアウターリングの歯数が50個、内側にあるインナーリングの歯数が34個という意味です。
出典:http://www.wiggle.jp/
明確な定義はありませんが、基本的にアウターが50以下のチェーンリングはコンパクトクランクに入ります。
フロントのギアの歯数は、少なければ少ないほどギア比が下がるため、ギアが軽くなります。そのため、ヒルクライムなどの登りは非常に楽です。トッププロであっても、急な坂が続くレースであれば使用することがあります。 ただし、ギアが軽いということは、楽に回せますが、その分スピードは出ません。下り坂や平地では、ある一定以上加速できなくなった、ということも起こりえます。
ノーマルクランク
一般的にフロントのチェーンリングの組み合わせが、「53-39T」のものを指します。これよりも歯数の大きい「54-42T」「55-42T」などもノーマルクランクの部類に入ります。アウターリングの歯数が53、インナーリングの歯数が39あり、コンパクトクランクより数字が大きく、外周も長くなるため、より大きな脚力が必要とされます。上級者、実業団、プロ選手の標準はこのノーマルクランクでしょう。
出典:http://www.wiggle.jp/
コンパクトクランクよりもギアは重くなるため、急な坂を登るのにはあまり適しません。しかしより大きな力で漕ぐことができ、同ケイデンスでペダルを回した場合、コンパクトクランクより高速で走ることが可能です。(詳細は下のギア比についてを参照)
また、歯数が多くなることで、変速がスムーズになるメリットもあります。
セミコンパクトクランク
コンパクトクランクとノーマルクランクの中間に位置する、ギアの歯の数が52-36Tのギアです。アウターの歯数は52個でノーマルクランクと近く、インナーの歯数は36とコンパクトクランク(34)に近いギアになっています。ちょうど中間をとったギアなので、近年は流行しています。
ギア比と速度の関係
まず、ギア比とは
- フロント歯数÷リア歯数
で計算します。
例えば、フロント歯数が50でリア歯数が12の場合はギア比=4.17
フロント歯数が53で、リア歯数が18の場合はギア比=2.94といった感じです。
そしてコンパクトクランク、ノーマルクランクという種類に関係なく、このギア比が同じであれば出せる速度やギアの重さ(負荷具合)は同じなのです。同一ケイデンス、同一タイヤサイズの場合、ギア比が大きければ大きい程より大きな推進力が生まれますが、その分脚力も必要となります。
次の表は、700cのホイールに23cのタイヤを使い、ケイデンス100で走行した時のギア比別おおよその速度表です。
コンパクトクランクを使用した場合のギア比と速度
フロントチェーンリングはコンパクトクランク50-34T、リアのスプロケットは12-25Tという最も軽いを使用した場合
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上の条件で、前のギアが50、後ろのギアが12を選んだ時のギア比は4.17となり、速度は約52.4km/hです。ケイデンスを100で固定した場合、ノーマルクランクで出せる速度は最低17.1km/h、最高57.2km/hということになります。
ノーマルクランクを使用した場合のギア比と速度
同じタイヤサイズ、ケイデンス条件でノーマルクランクを使用した場合、ギア比が上がるため、最高速度も上がります。
例えばフロント55-42T、リア11-23Tという最高に重たいノーマルクランクの場合はどうでしょう。
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上の条件で、前のギアが歯数55、後ろのギアが歯数11を選んだ時のギア比は5.0となり、速度は約62.9km/hです。ケイデンスを100で固定した場合、ノーマルクランクで出せる速度は最低23km/h、最高62.9km/hということになります。まぁギア比5の組み合わせはかなりの脚力を要するので実際厳しいですが・・・。
ギア比が同じであれば速度も同じ
表を見れば分かるように、(同タイヤサイズ、同ケイデンスであれば)ギア比が同じであれば同じ速度。例えば、ノーマルクランクのインナー42Tを使用していて、リアのスプロケット歯数21Tで走行した場合はギア比が2となり、速度は約25.2km/h。コンパクトクランク50Tでリアのスプロケットの歯数25を選んだ時も同じくギア比2となり速度は約25.2km/hです。
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なお、ギアの計算はこコチラのサイトが非常に分かり安いのでおススメです。コンポを選択るすと自動的にギア比や速度を計算し、表にしてくれるプログラムを組んでくれています。参考になります。
要は出せる速度はギア比次第!!!あとはケイデンスを上げることで速度は変わります。(同タイヤサイズ、同ケイデンスであれば)ギア比が高くなればなるほど高速が出せることになります。
ギア比の調整は、まずは交換が容易なスプロケットで行うのがオススメです。ちなみに、今自分が使っているスプロケットの歯数が何枚なのかは、数えても分かりますが、大体スプロケットの表面に歯数が書いていますのでチェックしてみて下さい。
デュラエースのギアの組み合わせは?
では具体的に一番有名なデュラエースのギアの組み合わせを見ていきましょう。
フロントチェーンリングのラインナップは以下のギアがあります。
出典:http://cycle.shimano.co.jp/content/sic-bike/ja/home/components1/road/dura-ace0.html
- 50-34T
- 52-36T
- 52-38T
- 53-39T
- 54-42T
- 55-42T
そしてリアスプロケットのラインナップは次の通り。
ちなみにリアスプロケットは11速のため、各ラインナップにより11枚のギアの歯数組み合わせが決まっています。(カッコ内が1枚1枚の歯数です) 下に行くほど組み合わせの歯数が少なくなり、ギアが重くなります。
出典:http://cycle.shimano.co.jp/content/sic-bike/ja/home/components1/road/dura-ace0.html
- 12-28T
(12-13-14-15-16-17-19-21-23-25-28) - 12-25T
(12-13-14-15-16-17-18-19-21-23-25) - 11-28T
(11-12-13-14-15-17-19-21-23-25-28) - 11-25T
(11-12-13-14-15-16-17-19-21-23-25) - 11-23T
(11-12-13-14-15-16-17-18-19-21-23)
ちなみに実業団Jプロツアーのふじあざみラインヒルクライム(最大勾配22%。平均勾配18%)で最も多い組み合わせはフロント34-28Tだったそうです。リアは何と32Tのスプロケットを使う選手もいたとか。
先述したように、ギアは目的や脚力によって自分にあったギア比を選択することが重要です。これから初めてチェーンリグやスプロケットなどギア周りの交換を考えていたり、ヒルクライム用に小さく軽いギアに交換しようと考えていたり、105→デュラエースにグレードアップしよう!と考えている方は是非参考にしてみて下さい。
↑いろんな歯数がある
色々実験しないと分からないかもしれませんが、自分に合った比率のギアを計算して探し求めるのもロードバイクカスタマイズの楽しいところです。
デュラエースは海外通販で買うべし
ちなみにデュラエースはAmazonとか国内で買うよりもWiggleで買った方が圧倒的に安いです。平均50%オフです。
デュラエース9000系コンパクトクランクはコチラ
デュラエース9000系ノーマルクランクはコチラ
デュラエース9000系コンポセットはコチラ
しかもコチラの記事で書いたように、デュラエースは2016年末に最新モデルの9100系が発売されます。 現モデルの9000系はこれからどんどん安くなることでしょう。特に最新モデルにこだわらない方はこれから2016年末にむけて9000系デュラエース買い時ですね。
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